伊藤忠は2013年、働き方改革の一環として朝食の無料提供を始めました。
社員が夜早く帰宅し、朝早く出社して効率的に働くという意識改革を実現するための施策です。
それでは、早速取材した東京都港区の東京本社での朝食提供を見てみましょう。
朝食会場は本社の地下1階にあり、平日の午前6時30分から8時までの間に配布されています。
提供されるメニューはサンドイッチ、おにぎり、サラダ、ヨーグルト、フルーツ、飲料など幅広く、社員の健康と栄養バランスを考慮しています。
取材日の午前7時、社員たちは慣れた手つきで商品を選び、レジで社員証をかざして職場に向かっていきます。
多くの社員はどれにしようか迷わず、デスクで食べる人が多いようです。
朝食のルールは「1人3品まで」となっており、組み合わせは自由です。
税務上の観点から、1人3品に制限しているとのことです。
また、会場入り口には「『ファミマ一押し!』コーナー」が設置されていて、ファミリーマートの人気商品が陳列されています。
ファミリーマートの商品が目立つ会場全体を見渡すと、全体的にファミリーマートのプライベートブランド商品が目立ちます。
ピザパン、クリームパン、サンドイッチ、パックご飯、カップみそ汁、カップスープ、緑茶や麦茶などのペットボトル、豆腐とひじきのお総菜、とろろと納豆の冷やっこ、ドライみかん、ミックスナッツ、割けるチーズ、サラダチキンスティックなどが並んでいます。
さらに、冷蔵ケースにはナショナルブランドの野菜ジュース、ヨーグルト、トマトジュース、豆乳、リンゴジュース、炭酸飲料、缶コーヒー、ミネラルウオーターなどがぎっしりと詰まっていました。
朝からホットコーヒーが好きな社員のために、白いカップやファミリーマートの看板商品「ファミチキ」と交換できるチケットも用意されています。
本社ビル内にファミリーマート店舗があるため、朝食会場で商品を陳列しているのは、ファミリーマートの従業員です。
伊藤忠のグループ会社がファミリーマートの商品を扱っているため、自社グループ商品の認知度向上と消費促進が狙いとのことです。
また、Dole Food Companyの買収により、Doleのバナナも提供されています。
朝食無料提供の取り組みを始めてから現在までにどのように改善されているのでしょうか。
広報担当者によると、「社員が商品に飽きないように工夫しています」とのこと。
具体的には、ファミリーマートの売れ筋や話題の商品を日替わりで提供しているそうです。
また、健康経営の観点から毎月テーマを設定し、産業医推奨の商品を展開しているそうです。取材日は「カルシウム月間」と題して、割けるチーズ、スーパー大麦入り野沢菜ちりめんおにぎり、総菜(豆腐と枝豆のひじき和え)が提供されていました。
取材日前日の売れ行きを見ると、特定保健用食品のお茶は午前7時10分に、乳酸菌の入った健康系ドリンクは午前7時30分になくなったとのこと。
全体的に健康意識の高い社員が多いようです。
また、サンドイッチも比較的早くなくなる人気商品だそうです。
100円台のおにぎりと比べて、ミックスサンドは290円と価格が高いため、お得感を重視する社員もいるようです。
伊藤忠の本社ビル内にはファミリーマート店舗があるため、朝食会場での商品陳列はその店舗で働く従業員が行っています。
約3人が商品を補充したり、レジを担当したりしています。
自社グループ商品の認知度向上・消費促進が狙いであり、Doleのバナナも扱っていることから多岐にわたる商品が提供されていることがわかります。
朝食無料提供の取り組みは朝型勤務制度を推進するための一環でもあります。
伊藤忠は2010年以降、社内託児所の設置や無駄な会議・資料の削減など様々な働き方改革を進めています。その中で、午後8時から10時の勤務を原則禁止し、業務が残ってしまった場合は翌日朝に片付ける「朝型勤務制度」を導入しました。
午前5時から8時を朝型勤務の推奨時間としており、午前7時50分以前に勤務を開始すると深夜勤務と同様の割増賃金(25%)が支給されるそうです。
朝食無料提供の取り組みは、伊藤忠の社員から好評を得ています。
「商品のラインアップが充実し、無料でもあるので、早朝に出社するモチベーションに寄与している」という声が寄せられています。
また、「朝は家族の支度などをサポートしているため、自身の朝食をとることが難しい。そのため、会社で朝食をとれるのはありがたい」という意見もありました。
これからも伊藤忠は朝食無料提供の取り組みや朝型勤務制度などを通じて、働き方改革を進めていくことでしょう。
どのような施策を打ち出すのか、ますますの展開に注目ですね。
皆さんも朝食の大切さと伊藤忠の取り組みについて関心を持ち、朝の時間をより充実させていきましょう。