2023年の7月25日、有明アリーナで行われた前4団体世界バンタム級王者の井上尚弥選手のWBC・WBO世界スーパーバンタム級統一王者への挑戦戦の前座カードにおいて、予想もしなかった反則行為が発生しました。
試合は、岩下千紘(駿河男児)対高原裕之(千里馬神戸)の58・5キロ契約8回戦。
岩下選手が4回1分40秒にTKO勝ちした形となりましたが、その試合中に驚愕の一幕が展開されました。
試合が終盤に差し掛かった1回の残り25秒。岩下選手の右パンチがロープ際に立つ高原選手に直撃し、彼はダウンしてしまいます。
しかし、ここからが問題の始まりでした。
染谷路朗レフェリーは高原選手のダウンを宣告しましたが、岩下選手はダウンした相手に対してさらにワンツーの連打を繰り出してしまったのです。
さらに、同ラウンドの終わり際にも高原選手がスリップし、再び右フックを浴びせられています。
この試合のインターバルでレフェリーは岩下選手に対して注意を促し、ダウン後の加撃に対しては2回に入って1点の減点が行われました。
しかし、それでも高原選手は無防備な状態で連打を受けており、その状況に危険性を指摘する声が上がっていました。
高原選手の所属する千里馬神戸ジムは、レフェリーの判断を含めた試合内容の再確認を日本ボクシングコミッション(JBC)に依頼しました。
そして、JBCの安河内事務局長も「(日本プロボクシング)協会からも声が届いている」とし、映像を使って詳細な検証を行うと述べました。
この事件は、ボクシング界におけるルールや審判の適切な判断について再考させるきっかけとなりました。
試合中に発生した反則行為によって、試合結果や選手の安全に大きな影響が及ぶことが示されました。
JBCの検証結果によっては、今後の試合での対応に変化が生まれる可能性もあるため、ボクシングファンにとっても極めて重要な問題です。
一方で、井上尚弥選手の快挙と共に、前座戦の衝撃的な反則行為によっても注目を集めることとなった今回の試合。
ボクシング界のファンならずとも、スポーツに対するルールとエチックスについて考えさせられる出来事でした。
最終的な真相究明と、JBCの対応にどのような結末が訪れるのか、我々も引き続き注目していきたいと思います。
ボクシング界の進化と安全性向上のために、適切な判断がなされることを願うばかりです。