安田純平氏、政府による旅券発給拒否事件の背後にある真実と見せしめの疑惑について、本人が詳細を明かしました。
安田氏はシリアでの3年4か月にわたる拘束後、帰国したものの、旅券の発給を拒否されており、国を相手取って訴訟を起こしています。
【拘束時の旅券奪取から帰国後の申請】
安田氏は帰国後、新たに発行された「帰国のための渡航書」で帰国しましたが、19年1月に旅券発給を申請した際に外務省は旅券法第13条を根拠に発給を拒否。
この条項では、渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者に対して旅券の発給を拒否することができるとされています。
【安田氏側の主張と反論】
安田氏側は代理人の岩井信弁護士を通じて、発給拒否の取り消しを求め、旅券法違反の事実がないことや旅券法の条項自体が憲法違反であると主張しています。
また、外相の裁量権が恣意的で違法な処分であるとも指摘しています。
さらに、安田氏がトルコ政府からの入国禁止措置を受けたという主張に対して、「自作自演」だったと反論しています。
【ジャーナリストの取材活動への影響】
安田氏は旅券法第13条を念頭に、「ジャーナリストの取材を妨害する手段として、非常に便利に使われている法律なのではないか」と話しています。
彼の取材活動が制限されることに対して懸念を表明し、政府の見せしめ的な対応を疑っています。
政府は外務大臣の裁量により限られた範囲で海外渡航を許可する姿勢であり、安田氏が死ぬまで制限される可能性を指摘しています。
【入国禁止期間終了後も制限される可能性】
外務省の主張によれば、トルコによる入国禁止期間は23年10月に終わるため、その後は旅券が発給される可能性があるとされています。
しかし、安田氏はそれでも制限された旅券しか発給されない可能性を指摘しており、日本政府の人間の移動の自由に対する認識の変化がない限り、彼の旅券発給には問題が生じると考えています。
安田氏はこの問題に対して国家賠償訴訟を提起し、入国禁止期間の合憲性を問うる姿勢を示しています。
【政府の回答と今後の展望】
旅券発給拒否事件について外相会見でも質問が提起されましたが、茂木敏充外相(当時)は「係争中の案件で、外務省としてコメントは差し控えたい」と答えました。
安田氏の訴訟はまだ結審しておらず、判決は3~4か月後を見込んでいるとされています。
【まとめ】
安田純平氏の旅券発給拒否事件は、政府の権限とジャーナリストの取材活動の自由という重要な問題を巡る争いとなっています。
彼の闘いは市民の代弁者として、政府の行動に疑問を投げかけるものであり、読者は彼の姿勢に共感し、事件の行方に関心を持つことでしょう。