ロシア革命以来の規模―100万人が国外へ移住、欧州の受け入れ政策が焦点

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2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻して以降、国際関係研究所(IFRI)が衝撃的な報告書を発表しました。

それによれば、100万人ものロシア人が国外に移住したというのです。

この数値は、1917年のロシア革命後の人口流出に匹敵し、驚異的な規模と言えるでしょう。移住者の大半は教育水準が高く、中間層に属する人々で、欧州各国がこれらの移住者を受け入れることで経済成長に寄与できるとされています。

報告書によれば、移住者の86%はロシアの平均年齢を下回る若い世代で、そのうち80%が高等教育を受けていたとのこと(ロシア全体の平均は27%)。

彼らの多くは人口50万人以上の都市部出身であり、高い所得水準を持ち、外国語を話す能力があり、異文化に対する寛容さやデジタル文化への理解も深いとされています。

これらの移住者の存在により、侵攻前の21年末時点でロシアの銀行に預けられていた個人貯蓄の11・5%に相当する約4兆ルーブル(約6兆2200億円)が国外に移転したと分析されています。

一方、この大規模な移住により、ロシアの中間層を対象としたサービス業やIT産業が打撃を受けているとも指摘されています。

また、ロシアの出生率は侵攻と国の将来に対する不安定要因として、93年以降の最低水準に低下しており、これが移住者が帰国しない限り、ロシア経済の構造的リスクとなると警告されています。

報告書によると、移住者の半数以上がロシア語が通じやすく、比較的物価の安い旧ソ連のジョージア、カザフスタン、アルメニア、キルギスの4カ国に滞在しているとされています。

一部の移住先では安定した長期的な働き先を見つけるのが難しいため、今後は欧州への移住希望者が増加すると予測されています。

こうした状況を受け、欧州連合(EU)はロシア人のビザ取得を厳格化していますが、報告書では今後40万~50万人規模になると見られる欧州への移住希望者に居住や就労、起業を認めることで、EUへの年間の資金流入額が数年間のうちに300億ドル(約4兆2460億円)に達する可能性があるとの提言があります。

さらに、これらの移住者がロシアの社会変革の担い手となる見通しも示され、EUは移民政策を拡大することが求められています。

この報告書からは、ロシアの大規模な移住現象が経済や社会に多様な影響を与えていることが明らかになりました。

国外に移住したロシア人の多くは教育があり、経済において重要な層であることから、受け入れ国が彼らの能力を活かし、共に成長していくことが望まれるでしょう。

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