山形県鶴岡市の佐藤八重治さん(80)が、自宅で32年間にわたって育てた野生のツキノワグマ「クロちゃん」が先日亡くなりました。
この感動的な物語は、クマ狩りでの自責の念から始まりました。
1991年4月、佐藤さんはまだ雪が残る山中で1頭の雌の子グマが取り残されているのを見つけました。
親と他の子の2頭もいることを確認していましたが、クロちゃんは逃げてしまったようでした。
佐藤さんは県の許可を得てこの子グマを保護し、「クロちゃん」と名付けました。
当時の体重はわずか2.5キロ。まるで動く縫いぐるみのようなかわいらしい姿でした。
餌の与え方には試行錯誤があり、結局そうめんを主食にして一度に5~6人分与える方法が見つかりました。
成長するにつれて、クロちゃんは体重130キロまで増えました。
野生の雌のグマは通常80キロ前後なので、少しメタボ気味でしたが、その愛らしい姿がメディアに取り上げられ、人気者となりました。
観光バスが立ち寄ったり、ファンクラブまでできるほどでした。
しかし、成熟した後のクロちゃんの余生はひっそりと過ごし、要介護状態になった後、今月初めに天国へと旅立ちました。
人間であれば100歳近い年齢に相当します。
「天寿を全うし、幸せだったと信じたい」と佐藤さんは語ります。クロちゃんに腕をかまれ大けがをしたこともありましたが、佐藤さんはクマは本来優しい動物だと信じています。
この感動的なクロちゃんの生涯は、地元の人々だけでなく、全国のネットユーザーの心にも響いたようです。
佐藤さんの優しさと情熱が、1頭の野生のクマを家族として迎え入れ、32年間愛情を注ぎ育てた姿は感動的であり、称賛に値するでしょう。