中古車販売大手ビッグモーター(東京)が、保険金不正請求問題に直面し、顧客離れが懸念されている中で、社員の歩合給を補填する大胆な戦略を採用することが分かりました。
これにより、販売台数などに応じて支給される歩合給が大幅に減少するリスクを回避し、社員の収入を安定させる狙いがあります。
また、内部崩壊を防ぐための対策としても位置付けられています。
ビッグモーターは公式サイトや求人サイトで、年収数千万円に達する社員の事例を紹介してきました。成績次第で高給を稼げるとアピールし、優秀な人材の獲得に力を入れてきましたが、保険金不正請求問題が発覚して以来、顧客の信頼低下による売上げ減少が懸念されています。
このような状況の中、ビッグモーターの和泉伸二社長が社員に通知したのは、歩合給の補填を行う方針であるという内容でした。
和泉社長は、「現場で対応していただいている全社員の皆さまには、多大な負担をおかけして心苦しい限りだ」としながらも、「社員の生活の安定向上を図る」との意欲的な決断を強調しています。
この戦略の具体的な内容は、8月以降の半年間に支給される歩合給を、4~6月の3カ月間の実績を基にして決定するというものです。
例えば、3カ月間の平均が20万円だった場合、8月以降は成績が振るわなくても毎月20万円が支給される仕組みとなっています。
これにより、社員の収入が一定水準で保証され、生活の安定を図ることができるでしょう。
ビッグモーターは、この給与補填の戦略によって、顧客の心を取り戻し、販売台数の回復を目指すと同時に、社員のモチベーションを高め、内部の団結を強化することを狙っています。
今後の成果に注目が集まることでしょう。
一方で、この戦略に対しては賛否両論が存在しています。
支給される歩合給を実績に基づくものとすることで、売上げに直結するモチベーションを保つという意見もあれば、成績によらず一定の収入を保障することによって、やる気を失う恐れがあるとの懸念も指摘されています。
この給与補填戦略がビッグモーターにどのような影響をもたらすか、また顧客と社員の信頼を取り戻すことができるか、今後の動向が非常に興味深いところです。
ビッグモーターは、歩合給問題を抱える中で、給与補填という大胆な手法を選びましたが、これが逆に新たな試みとして評価される可能性もあるでしょう。
企業の給与制度や福利厚生を見直す動きは、ビジネスの変化に合わせて行われることが多く、ビッグモーターの取り組みは他の企業にも示唆を与えるかもしれません。
社員と顧客を支える戦略の舞台裏で何が起こっているのか、これからも注目していきたいと思います。