自転車の交通違反に対する新たな制度の検討が報じられました。
警察庁が違反者に反則金を求める「青切符」導入を視野に、有識者検討会を設置したとのことです。
2021年度の自転車保有台数は全国で推計5700万台。
自転車は通勤通学やデリバリーなど幅広く利用されている交通手段であり、その利用者数は増加の一途をたどっています。
しかし、その一方で自転車と歩行者の事故が増加傾向にあり、特に去年の事故件数は2905件と2年連続で増えています。
また、自転車による死亡重傷事故の7割以上で自転車側にも違反が見られるとの報告もあります。
警察庁はこうした悪質な自転車違反に対して、取り締まりを強化しており、去年だけでも摘発件数は2万4549件にも上ります。
しかし、現行の制度では刑事責任を問う「赤切符」を適用する場合、手続きが煩雑で実際に起訴される確率は1~2%に過ぎません。
そのため、効果的な違反者の取り締まりが難しいとされています。
この問題に対し、警察庁は自転車も車や電動キックボードと同様に、行政処分として反則金を求める交通反則金制度「青切符」の導入を検討することになりました。
具体的な対象としては、逆走や信号無視、歩行者の妨害などが想定されています。
なぜ今、このような制度導入が検討されるのでしょうか?
自転車の利用者は免許が不要で違反点数がないため、罰則の重さが問題となっています。
警察庁は検討会を通じて、違反者への強力なメッセージを発信することを期待しています。
検討会は8月末から開催され、年内には提言がまとめられる見通しです。
警察庁は提言を受け、早ければ来年の通常国会での法改正を目指す方針です。
警察庁のこの新たな試みには賛否両論あります。一部からは、自転車の危険運転に対する抑止力が高まると評価する声もありますが、一方で、罰則が厳しすぎるとして反対意見も見られます。
特に、青少年の自転車利用者に対して過剰な厳罰が懸念されています。
ただし、電動キックボードの制度を参考にすることで、年齢制限の設け方や反則金の軽減措置なども検討される見込みです。
自転車産業振興会によれば、2021年度の自転車保有台数は全国で5700万台に達するとされています。
自転車は多くの人々に利用されているだけに、安全な交通環境の確保が喫緊の課題となっています。
今後は検討会の結果と提言、そして警察庁の法改正に向けた動きが注目されます。
自転車利用者、歩行者、そして交通安全に関心のある全ての人々にとって、この制度導入がどのような影響をもたらすのか、今後の動向に目を向ける必要があります。