大阪府摂津市が住民税還付金の入力ミスから多額のお金を回収できないという問題が発生しています。
早速、事件の状況を確認していきましょう。
問題の概要
大阪府摂津市は、2018年に市内の一市民に対し誤って約1500万円の住民税を還付してしまった問題について、回収を断念すると発表しました。男性はすでにこの還付金を使用してしまったため、回収が難航していました。この事態を受けて男性は破産申請を行うこととなりました。
問題は、2018年4月に市の担当者が男性の住民税の控除額を1桁誤って入力し、正規の166万円とは大幅に異なる1668万円を誤って還付してしまったことから発端とされています。約1年後、市はこの誤りに気付き、男性に返還を求めましたが、男性は既にこれを使用してしまっているため返還が不可能だと答えたとのことです。
大阪地裁は2021年10月、男性に対し過払い分の約1500万円の全額を返還するよう命じる判決を下しました。しかしこの後も市と男性との間で回収交渉が続き、男性は2022年に破産申請を行ったと報告されています。
市側は「道義的責任」を理由に、森山一正市長と奥村良夫副市長の給与を3カ月間、2割減額する条例改正案を検討しており、これは近日中に市議会定例会に提出される予定です。
回収断念!ミスの理由は?
上述の通り、市の職員が控除額を「166万円と入力すべきところ、1桁間違えて1,668万円」と入力したことです。
あまりにもレベルの低いミスに驚きを禁じ得ない、という方も多いのではないでしょうか?
問題は、ミスした担当者ではありません。
ミスは誰でも必ず起こします。
いち個人でも簡単に対策できるようなミス防止対策すら、為されていなかった摂津市の業務に対する姿勢が問われています。
なぜ簡単な入力ミス防止策すら導入されていなかったのか?
桁を間違えて入力する。
事務処理をする人間で、このミスをやったことが無い人間が果たして居るのでしょうか?
そう聞きたくなるほど、必ず起こるミスです。
桁間違いは必ず発生する
必ず発生するミスと分かっているのに、必要な対策を怠ってきた摂津市の怠慢が一番の原因でしょう。
入力ミスを防ぐ方法として、ネット上に様々情報が上がっていますが、それらのほとんどはヒューマンエラーを人間がダブルチェックして防ぐ内容ばかり。
ダブルチェックを人間がやれば済む話ではありませんし、そもそもダブルチェックしているかをどうやってチェックするのでしょう?
人に頼るのが間違いです。
年収1千万円社員ばかりで話題になるキーエンスは「エラープルーフ化」という防止策を提案しています。
これは人に依存しないミス防止策で大変参考になります。
自動チェック導入は非常に簡単で確実に防止可能
今回入力ミスしたのは控除額です。
控除額は収入によって決まるもの。
であれば、入力した金額が収入に対して異常な値となっていないか自動でチェックすることは簡単にできます。
この程度のチェック処理が入力システムに組み込まれていなかったことが驚きです。
今の時代、個人ですらエクセル上で入力チェックの関数を使ってチェックシステムを作ることが出来る時代です。
摂津市のシステム処理は一体どうなっているのでしょう?
回収断念!回収できない理由は?
「破産申請したから」
税金は破産しても免除されないはず。還付金になると破産で返還を免れることが出来るという、これまた驚きの事態です。
ここは法整備が必要な部分でしょう。
全く返済しないで済ますのは妥当とは思われませんし、1円も返済不可能ということもあり得ないでしょう。
そうであれば、不当利得を回収する仕組みを作ってしかるべきでしょう。
まとめ
間違えて多く還付金を振り込んでしまった。
何度目でしょうね?
こういう事件。
住民の大切な税金を扱っている自覚が、改めて自治体に求められています。