神戸ルミナリエは、阪神・淡路大震災の犠牲者を悼み、記憶を継承する光の祭典として知られています。
組織委員会は、新型コロナウイルス禍を乗り越え、来年の1月19日から28日にかけて、2021年以来の本格的な開催を決定しました。
これまでは毎年12月に行われてきたルミナリエが、初めて1月に開催されることとなります。
今回の1月開催は、鎮魂の趣旨を重んじるため、1月17日に東遊園地で開催される「1・17のつどい」後の実施が適切だと判断された結果です。
密集を回避するため、光の装飾は従来の旧居留地から東遊園地、そしてメリケンパークに分散配置されることになります。
光の回廊「ガレリア」は、メリケンパーク南東側に設置されます。
これまでよりもアーチの数が減らされ、高さも約18メートルほど低くなる計画とのことです。旧居留地では円形の装飾「ロソーネ」などが展示され、東遊園地には光の聖堂「カッサ・アルモニカ」などが設けられます。
新たな試みとして、拡張現実(AR)などの技術が活用される予定です。
旧居留地では、過去のガレリアをスマートフォンなどの画面上で再現し、来場者が記念撮影を楽しむことができるそうです。
ただし、通り抜けやデジタル技術の利用は有料となる見込みです。
ルミナリエの開催経費は約5億円とされており、警備費用だけで1億4千万円ほどが見込まれています。
一方で、企業の協賛金や来場者の寄付は減少しているため、組織委員会は新型コロナウイルス禍以降、規模を縮小し代替行事を実施してきました。
しかし、今回の1月開催は「実験的な取り組み」であり、震災30年を見据えてルミナリエを持続させる方法を模索する機会でもあります。
ルミナリエに対する期待は高く、震災後に生まれた世代のグループ「1・17希望の架け橋」の代表も1月開催を歓迎しています。
失われつつある犠牲者への鎮魂という目的がより確かなものとなると語り、追悼行事の意味合いを守りつつルミナリエを継続させる大切さを訴えています。