富士山、日本を象徴する山であり、毎年多くの登山者が挑戦しています。
しかし、近年、注目を集めているのが「弾丸登山」と呼ばれる登山です。
富士山の魅力に惹かれた登山者たちが、特別な装備を持たずに冒険を試みています。
7月29日、富士宮口ガイド組合の水本俊輔組合長がツイッターに投稿したメッセージが話題になりました。その投稿は「そろそろ こういうのやめませんか。。。天候が急変しても、山小屋に泊まったり入れてもらえるとは限りません。軽装は低体温症のリスクがあります。山頂は冬の気温です」という内容でした。
この投稿には、富士山の山小屋や周辺に座り込む弾丸登山者たちの写真も添えられていました。
彼らはスニーカーやジャージ、スエットなどの軽装で寒い夜を耐え忍び、山頂でご来光を見るために屋外で時間調整をしているのです。しかし、この行為には危険が伴います。
水本組合長は、「増加し続ける弾丸登山者に対する、怒りを通り越して、呆れ果ててしまった気持ち」とつぶやきました。彼らは低体温症や落石などのリスクを冒しているのです。
弾丸登山者の行動には、いくつかの特徴があります。まず、山小屋での宿泊代を浮かしたいという欲求があります。
また、コースタイム通りに登頂すればご来光を拝めるだろうという安直な考えが影響していると言われています。
しかし、実際には防寒具も持たずに軽装で登山することは、低体温症や地形起因のリスクが高まり、非常に危険です。
さらに、弾丸登山者のマナーの悪さも問題視されています。過去には山小屋のトイレに入り込むなど、周囲に迷惑をかける行為も報告されています。
富士山が国立公園特別保護地区内にあるため、たき火を起こす行為は犯罪となることもあります。
弾丸登山者の増加にはSNSの影響が大きいとされています。
SNSには成功した登山の投稿が多数あり、これらを見た他の登山者も同じように挑戦してしまう場合があります。
しかし、富士山は厳しい環境が待ち受けており、軽率な行動は命取りになるかもしれません。
富士山登山の安全を確保するためには、具体的な対策が必要です。
静岡、山梨両県の山小屋関係者は、登山者の制限や安全措置を講じるように要請しています。
水本組合長は、「弾丸登山者を5合目までこさせない、登らせない」という対策を提案しています。
具体的には、行政がタクシーやバス会社と協力し、特定の時間以降は宿泊予約が確認できないとシャトルバスやタクシーは登山者を運ばないというルールを定めることが考えられます。
また、ピーク時期の混雑も登山事故のリスクを高めます。
待つことを我慢できない登山者が登山道から外れると落石を誘発し、事故につながることもあります。
山岳救助機関の活動が補助されることもありますが、事故を未然に防ぐためにも混雑対策が必要です。
富士登山は日本最高峰の山です。簡単に考えて登れる山ではありません。
富士山の登山前には、近隣の山で体力や装備の確認を行い、安全な登山を心掛けることが重要です。
登山の楽しみを損なうことなく、事故を避けるためにも体調や天候をよく考慮し、無理をせず登山を楽しんでほしいと水本組合長は呼びかけています。
富士登山は一生に一度の経験となるかもしれませんが、安全が最優先です。
富士山の魅力を存分に味わいながら、思い出深い登山を楽しんでほしいと願っています。