酷暑化が進む中、熱中症の懸念が高まっています。
この厳しい状況下で、生活保護を受給する世帯に対して、エアコン購入費の支給が行われることが厚生労働省によって認められています。
ただし、その支給に関しては自治体によって判断がぶれることがあり、支援団体からは「消極的な対応をしている自治体もある」との指摘が出ています。
エアコン購入費の支給は、生活保護を受けている人が転居する際に行われる場合が多いようです。
たとえば、新旧住居の設備の相違によりエアコンを補填する必要がある場合などが該当します。
厚労省は2018年春まで、エアコン購入費の支給を行っていなかったため、生活保護世帯は暑さ対策を自己負担する必要がありました。
しかし、気候変動によって暑さが増し、熱中症予防のためにエアコンが必要な世帯に対して、支給の方針が転換されたのです。
現在では上限5万4千円までの購入費が認められています。
しかし、その支給においても自治体による判断がバラついています。
例えば、名古屋市の一件では、男性が新たに転居した際にエアコン購入費の支給を求めたところ、当初は認められなかったとのこと。市の方針としては、自己都合による転居の場合、事情に応じて判断する姿勢をとっており、無条件に認めるわけではないとのことです。
その後、男性がエアコンなしの生活で苦しんだため、再度市に相談し、支給が認められたとのことです。
さらに、厚労省は犯罪等によって被害を受けた場合も転居時のエアコン購入費支給を認めているそうで、隣人からの暴力被害を受けたケースも支給の対象となったと報じられています。
全国的な視点でも、2018~19年度に全国でエアコン購入費が支給された件数は9,025件であり、政令指定市によって1,000世帯あたりの支給件数には最少0.7件から最多11.0件とばらつきが見られました。
地域によっては実際の暑さの違いも考慮すべきなのかもしれませんが、地方自治体が4分の1の負担をしなければならないことから、支給の実務において自治体の裁量が大きく影響していると指摘されています。
NPO法人「ささしまサポートセンター」の横井久実子さんは、支援活動を通じて、公費によるエアコン設置を断られている生活保護受給者に出会ったと話しています。
彼女は、厚労省に対して自治体の消極的な対応を防ぐために、基準の徹底を望んでいます。
これらの事例をふまえ、今後も熱中症対策としてエアコン購入費の支援が必要な世帯に対して、公平で適切な判断と支援が行われることが重要とされています。
政府や厚労省は、全国的な均等性を図りつつ、生活保護世帯の暑さ対策を支援するための対策を検討していく必要があるでしょう。
また、地方自治体も住民の健康と福祉を最優先に考え、個々の事情を適切に判断していく姿勢が求められるでしょう。